「日本舞踊」ということは「日本の舞踊」ということだが、あまりにも範囲が広いのでここでは伝統芸能としての「日本舞踊」にふれたいと思う。
まず「舞踊」という言葉についてだが、これは明治39年に坪内逍遙が自身の著書『新楽劇論』のなかで多用した「Dance」 を和訳した造語である。
「舞」とは「まわる」の意で、元来は地をするような足づかいで巡り回る旋回動作のことである。
「踊り」とは音楽に合わせた跳躍運動を主体とした動作のことである。
この二つの言葉の意味を合わせもたせたのが「舞踊」となる。
日本舞踊の流派は、(公社)日本舞踊協会に所属しているだけでも約120流派を超える数があるが、そのなかで「花柳流」「藤間流」「若柳流」「西川流」「坂東流」を五大流派と呼ぶ。
日本舞踊は、ひとつの演目がふつう四つのパート(出~クドキ~手踊り~段切れ)にわかれています。そして、そこで大事なのはツナギ目である「~」の部分。映画の手法でいえば、フェイド・インなのか、ズーム・インにするのかなどは大きな問題です。自分で踊っていても同じことで、「~」の部分がきちんと埋まっているかどうかは重要で、初心のうちは「~」のところで、フッと素の自分になってしまいがちです。
日本舞踊のおもしろみのひとつは、単純に振りを覚えて踊ることではなく、振りから振りへの「〜」の部分、電車でいうところの連結の部分をどうつなげるかという事だと思います。